7月26日に行われたベイズ塾例会では,”分布感をつかむ”※1をテーマとして,各メンバーがベイズ推定で用いられる分布の概要を発表しました。
僕の担当はガンマ分布でした。発表資料は ↓
ガンマ分布とは
ガンマ分布は,一言で言えば,ポアソン分布に従って生じる事象が”所定の回数観測されるまでの時間の分布”です。
例えば,「バッティングセンターでホームランを3本打つまでにどれくらいの時間がかかるか」といった推測に用いることができます。時間以外の例だと,「セールスマンがあと5件契約を取るまでに何軒の家を回ればよいか」といった感じでしょうか。
ホームランを打つ,契約が取れるといった事象は比較的レアな事象であり,こういった事象が単位時間あたりに生じる確率はポアソン分布に従います。これらが所定の回数生じるまでの時間の分布がガンマ分布です。
使用例
コワイ本※2の分析例では,モデル中の分散(λ)の無情報事前分布として逆ガンマ分布が使用されています。ただし,kosugitti先生の発表によると,これは適切ではなく,コーシー分布という別の分布を用いたほうが良いとのことです。
豊田先生の『基礎からのベイズ統計学: ハミルトニアンモンテカルロ法による実践的入門』の巻末には,ガンマ分布を使って「流れ星が3つ観測されるまでにかかる時間」をベイズ推定した例が示されています。
詳しくは発表資料をご参照ください。
ガンマ分布の他にも正規分布,ベータ分布,ポアソン分布,コーシー分布,負の二項分布など,様々な分布について分布感を感じることができました。
次回のベイズ塾は夏合宿です。今から楽しみです。
※1 分布感(sense of distribution):造語。事前分布として設定する分布や,各々のパラメーター設定についての直観。翌朝,うっかりつぶやいたことを後悔したとかしなかったとか。
※2 コワイ本:『Bayesian Cognitive Modeling: A Practical Course』 表紙が実際コワイ。